「中学で不登校になって、今32歳です」
お話ししてくれたのは、愛知県在住のきのっちさん。

中学1年生の冬から卒業するまで不登校になった理由や高校に行こうと決めた思い、
社会人になって3回転職した経緯を話してくれました。
全10回でお届けします。

画像:きのっちさん撮影

#2
「生きるってなんだろう」
もう一度不登校になる

中2の新学期から、
頑張って学校に通い出したんですけど、
勉強が全然わからなくて、
授業についていけませんでした。

元々僕は、
雰囲気的に「勉強ができる子」キャラ
だったというか。

小学生の時は特に。
それが全くできないってなると・・・

うん。
きついですね。

最初は「ちゃんとやらなきゃ」
と思ってました。

でも、授業をしっかり聞いてるのに、
理解できない。

それは駄目なことだから、
授業中は「当てられたらどうしよう」とか
不安になったり。

テストが返ってきても
全然点数とれてないし、
それを人に見られたくない
っていうところがあって。

その、勉強ができないのに、
周りからは「勉強ができるキャラ」と
見られてしまうギャップで、
「どうしよう」って苦しくて。

なので、夏休み明けから
「僕はもう行けないな」って感じになりました。

家にいる時は、
何をして過ごしてましたか?

えっと、それは中1の頃ですか?

中1や中2、3と含めて。
家にいる時は何してたのかなって。

ああ、ずっとゲームしてました。

高校に進学する時だけは、
小論文というか、
日記みたいな感じなんですけど
提出する必要があったので書いたのと、
中学の校長先生に、
推薦状を書いてもらわないといけないので
中3は1度だけ出席、
というか校長先生に直接会って話しました。

この2つだけ、頑張ってやりました。

うんうん。

ただそれ以外は、
本当にゲーム をやったりとか。

あとは、今でいうところの哲学?
「生きるとは何か、死ぬとは何か」
っていうことを考えてました。

当時は「哲学」って言葉も
知らなかったです。

もうずっと、
「死んだらどうなるのかな」とか
「僕はなんのために生きてるんだろう」
とかっていうのを、黙々と考えてましたね。

ふんふん。
行動としては、
家にこもりっきりだったんですか?

例えば、会いたい人には会いに行ったり
してたんですか?

そうですね。
親に連れられて、外に出ることはありました。
お墓参りに行ったりとか。

一応、精神科にも通ってました。
でも病院では、「問題はない」って。

言い方があっているか分からないですけど、
「気分の浮き沈みがあるから精神安定剤ね」って。
「気持ちが高ぶった時には飲みなさい」って。

特に診断はなかったんですが、
そういう風に連れて行かれて外に出てました。

うん。

あとは、なんか・・・変な?
「変な」っていう表現はあれですけど、
「前世が見える」みたいなところに連れられて、
前世の話をされたりとか。

そういうことは何度かありました。

僕自身が外に出るきっかけとしては、
ブロンコビリー」っていう
ステーキハウスがすごい好きなんですよ。

ランチが当時680円ぐらい、すごい安くて。

お母さんに
「ブロンコビリー行く?」って言われたら
「じゃあ行く」っていう感じで、
外に出ることはできました。

うんうん。

ただ、子どもが通学する朝と、
帰ってくる夕方以降は、
もう絶対に人に会いたくないので。

お昼の時間帯は、外に出られるんですけど、
それ以外はあんまりなかったですね。

ありがとうございます。

なんとなく、その頃のきのっちさんの
雰囲気がみえてきた気がします。
特に、哲学のこととか。

考えることって、
やめられないじゃないですか?

家にいるだけで、
「この時間みんな勉強してるんだな」
っていう意識が、常に頭の中にある感じ?

そうです。

わざわざ考えるんじゃなくて、
常に、「いま勉強進んでるんだろうな」
っていうのが頭にあるし、
「このままいけば完璧になれる」
って思ってたけど、
中学に入って違うことが分かったり・・・
考えが止まらないです。

勉強に追いついてない自覚があった中で、
でも「高校は行こう」っていう意思は
しっかり持ってましたよね。

将来のことは、考えてました?

もう、ずっと考えてました。

例えばどんなことを?

そうですね。
もし、不登校のまま
高校に進学できなかったら中卒になるわけで。

「中卒で働ける仕事しか選べないんだな」って、
どうしようって焦ってました。

そもそも学校って、
行って寝てれば、なんとかやり過ごせるけど、
仕事って、行って寝てるわけにはいかない。

だから、
「こんな僕でも本当に働けるのかな?」って。

働けないだろうなと思ったら、
「本当にどうしよう」っていう。

「一生親に迷惑かけてしまうんだろうな」
っていうのは思ってました。

うんうん。
これは、なんて言うんでしょうね。

大人たちを見て
「あんな風になれんのか私は」っていう「不安」。

その不安の中で、
目星をつけていたお仕事とかありましたか?

そうですね。
大工さんになろうかなと思ってました。

中卒でも雇ってもらえるっていうところで?

はい。

そこの部分で聞きたいのが、
それは、夢といってもいいものだったのか、
めちゃめちゃ現実的に考えて、
大工さんが出てきた感じですか?

えっと、大工さんって、
弟子入りするってイメージがあって。
だから、
「中卒でも弟子入りさせてもらったら
働けるのかな?」
って思っていました。
でも、「やりたい」とは全然思ってなくて。

だから、将来のことを考えてると、
かなり不安はありました。